ジュエリーのクオリティとは
ジュエリーのクオリティとは何か、を時おり立ち止まって考えます。
私は10歳ぐらいの頃から「宝石」に並々ならない興味が引かれていました。将来ジュエリーの仕事をすることになるなど想像もしていなかった日本が高度成長期の時代です。漠然と抽象的にですが自分が将来身に着けるジュエリーの形についてずっと考えていたように思います。大人になって母から譲り受けたりジュエリーを買ったりして身につけ始め、特にここ40年くらいは、ジュエリーの仕事に携わったこともあって普通の生活者の女性の何倍も多くのジュエリーに触れ身に着けてきたと思います。年月ばかり長く過ごしているので、フランス、イタリア、ニューヨーク、LA、香港、バンコク、のジュエリー製品やロンドンやパリの博物館、美術館のジュエリー展示も数多く見てきました。
クオリティの答え:三位一体の要素
そして、身をもってわかったこと、ジュエリーのクオリティについての私なりに得た答えというのは……
ジュエリーのクオリティは、「時代を映すデザイン」「使っている素材」、そして「進化した最新技術の製法や表現法」の三位一体で形成実現されるものではないかということです。
10も20もグレードのある品質の中、最高品質のダイヤモンドやルビー、サファイアを素材として作ったら、ミリオネアやビリオネアでもなければ手が出せない高価なものになってしまいます。
最高品質だけではないクオリティの本質
その、最高級グレードの高額な宝石で作られているものであっても、50年以上前の保守的で古くさいデザインのままのベースにセッティングして販売しているお店は、銀座のメイン通りにも、デパートの宝飾売り場でも、21世紀のいまだに主流と言って良いと思います。
今のこの時代を生きている人々の価値観や文化や生活スタイルを織り込んだ新しい創造を生み出す、という気概を持ってデザインを進化発展させようと研究や模索をする気がなく製作されたジュエリーにクオリティはあるのか・・と考え込んでしまいます。
とある海外一流ブランドについての疑問
かと言って、誰もが知る海外一流ブランドの、挑戦的な新しいフォルムの唯一無二のデザインの商品に使っている素材が、お世辞にも宝石と呼ぶには程遠い安価な色石であるものを見ると、デザインはステキだけれどこの価格でこの素材とは……ちょっとお客様をバカにしているのでは?とクオリティに疑問を持ってしまいます。
求めるクオリティの条件
私たちがジュエリーづくりで常に頭に置いて求めているクオリティの条件は
・今私たちが生きている時代の空気を映したデザイン
・世界中の誰の目にも通用する価値の高い素材
・伝統の上に磨き上げられ進化した最新の技術
この3つです。
これらを満たしたものをつくっていきたいと思います。